フィーリングを大切に!海外出店を加速する!! | バッカスの横顔 vol.3 ゼットン 稲本健一社長 後編

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業態開発で稲本氏が必ず回避する3つのタブー

ゼットンの競争力の源泉について稲本氏に尋ねると「早い時期からデザイン部を設置してデザインを内製化してきたこと」や「全役員が10~20年勤務しているなど定着率が高いこと」を挙げた。だが、それにも増して、稲本氏の卓越した業態開発力が大きいだろう。 稲本氏はいまでも「代表取締役クリエイティブディレクター」として、ロゴマークの位置など細部に至るまで陣頭指揮を振るっている。セオリーは何だろうか。 「何についても本物であること。私にはダメなものが3つある。一つ目は、シェフの気まぐれサラダ。気まぐれで商品を出すな、と。二つ目は“○○風(ふう)”という本物を模倣したもの。三つ目はカルパッチョ。新鮮な素材のカルパッチョもあるが、古くなった素材を使うためにカルパッチョをメニューに加える店が多い」 本物を実践する一例が、ハワイにアロハテーブルをオープンしたことだ。通常、日本の外食企業が海外に出店するのは、日本料理店やラーメン店などだが、あえてハワイアンレストランをオープンした。アロハテーブルを日本でどれだけ出店して高収益を上げたところで、出店地が日本である限り「ハワイ風」の域を出ず、本物にはなり得ない。 そう判断して本場に進出したのだが、勝算もあった。「ワイキキは街そのものが一大ショッピングセンターだが、ハワイアンレストランがない」(稲本氏)ことに着眼し、良質な料理を提供すれば成功すると読んだのだ。現在、ワイキキには3店舗を出店している。 zetton-inamoto2-1

30代後半から50代前半のライフスタイルを投影

もうひとつ、ゼットンの業態開発に深く関わるのは、クリエイティブディレクターである稲本氏のライフスタイルだ。稲本氏は1年の3分の1近くをハワイ中心に海外で過ごし、トライアスロンとマラソンの大会に出場する現役アスリートでもある。年齢は47歳だが、自覚するフィーリングは30代後半だという。 「30代後半から50代前半までが一番お金を持っていて、飲食や車、時計、洋服など一番消費が活発な世代である。私が自分の欲するものを店に投影すれば、同じ思いを持つ人たちが集まってくる。究極は、自分が客として入りたい店を開発している。それしかない」 いわば感性からのアプローチで、これを創業期の外食ベンチャー経営者にも求めている。 zetton-inamoto2-2   「飲食業で大切なのはマーケティングよりもフィーリングだ。FL比率など数字からアプローチせず、感性で店を作ることに熱くなってほしい。さらに付け加えれば、インバウンド需要などアテにするんじゃない!味覚にすぐれた日本人の特性を活かして、失敗を怖れずに、どんどん海外に出店して勝負せよと言いたい。そのほうがチャンスは多い」 そう説く稲本氏はさらに壮大な構想を描いている。ハワイ州で15~20億円の売り上げを達成したうえで、サンフランシスコを拠点とした全米への展開、あるいはニューヨークを拠点としたグローバル展開だ。日本の農業技術をハワイに移植し、農作物を輸入する構想も念頭に置く。あくまで変化を追い求めてゆくのである。 前編はこちら

インタビュアー:KSG ヴァイスプレジデント 細川 和人

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