つねに変化を研究しつづけて、 時代の価値観で利益を出せる店を作る | バッカスの横顔 vol.6 際コーポレーション 中島 武社長 後編

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見世物小屋のような店は、いずれ化け物小屋に変貌する

食材から企画へのフローには、経営バランスの強化だけでなく、変革の推進という意図も込められている。中島氏は「私たちの店は止まってはいけない」と戒めるが、それは、たとえ一流店でも止まってしまうと時代からズレてしまうからだ。

「高級料亭で働く50代の料理人には、20年前に親方から教わった方法で盛り付けている人もいる。脱皮できていないのだ。最近、ある高名な旅館の料理がちょっと古くなっちゃったなと思う機会があった。女将は年を取り、料理長の手法は昔のままで新しい料理を作らない。プライドも高いから他人の料理を勉強しない。だから止まってしまう」。

オーセンティックなスーツやワイシャツの形状が少しずつ変化するように、料理も変化するものだ。たとえば見せ方は賑やかなほうがよいのか、シンプルなほうがよいのか。シンプルにする場合はスタイリッシュでよいのかどうか。

高級店だけでなく、街場に展開する大衆店もアッという間に市場が変化してしまう。「紅虎餃子坊」の大ブームを経て、リノベーションを繰り返してきた中島氏には、人気チェーンの先行きが見えるという。店舗デザインや店員のパフォーマンスを売りものにした人気チェーンも、旬の時期を過ぎると2~3年後には寒風が吹きはじめる。まず東京の店舗から売り上げが落ち、やがて売れていた地方の店舗でも低落していく。

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「見世物小屋のように設計・デザインした店なら、メンテナンスもしづらくて化け物小屋のようになってしまう。いまさら気がつくもの変だが、つねに変化を研究して、その時代の価値観をともなって利益を出せる店を作るか。マメに取り組むしかない」。

個人店の勝ちパターンは、オタクとして極めること

この定理は、次世代の飲食店経営にも実践してほしいのではないか。若手経営者は中島氏を「大御所」と呼ぶが、若手をどう見ているのだろう。

「いまの若い経営者たちは賢明だから、自分の世界観で上質感のある店をきちんと作っていこうとしている。金儲けに走ってハッタリをかまして集客しようとする“飲食企業”と違って、若い経営者たちは堅実だから心配ない」。

そのうえで、勧めるのはオタクになることだという。

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「オタク文化はすばらしいと思う。上っ面な業態ではなく、豚でも鳥でも魚でもオタクとして極めればよい。鯖料理の専門店なら、日本中の鯖を取り扱って、季節ごとに一番美味しい鯖を出すとか。そして、鯖に寄生するアニサキスは冷凍で殺虫できるが、うちの店は冷凍せずにこのように手作業で除去していると説明すれば、それだけで集客できると思う」。

外食業界ではベンチマークと称して繁盛店を模倣する方法がつづいているが、模倣である限り、極めることはありえない。だが極めれば、個人店でも局地戦なら大手飲食企業に対抗できる。これは、大手や有名店に対する有力な勝ちパターンである。

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ライフスタイルビジネスで文化を共有<br>止まらないで“尖がった店”を作っていく | バッカスの横顔 vol.6 際コーポレーション 中島 武社長 前編

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インタビュアー:経済ジャーナリスト 小野 貴史, KSG ヴァイスプレジデント 中塚 進悟

文:小野 貴史

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